勝利した方のサイドが次ラウンドにHPの残量を引き継ぐシステムです。ボーナスとして次ラウンドに移る時、自動で少しだけ回復されます。
敗北してしまったサイドはHPが全回復します。

一見”なぜ頑張って勝利した方が次のラウンドに不利を背負ってしまうのか”という捉え方もできるかもしれませんが、このシステムを選んだのには理由があるのです。

もしも”勝利しようがしまいが次ラウンドでHPが全回復する”という安心感をプレイヤーがもっていたらどうでしょう。

●HPに極端な差が生じていている状況で量が多い方のプレイヤーは、そのラウンドで勝てるだろうという判断から、わざと制限時間ギリギリまで相手にトドメを刺しに行かずSPゲージやEXゲージを温存するような行動に移るかもしれません。多少HPを減らされようが次ラウンドになれば全回復するのですから。
ゲームテンポが損なわれる恐れがあるだけでなく、一時的に戦いを放棄してしまいます。
対戦相手に向かって事前にチープな戦いはしないよう説得するという手もあるかもしれませんが、それはローカルルールや暗黙の了解が伝わらなければ成立しません。それを誰にでも強いるのは無理があります。

●HPが残りわずかで、そのラウンドはほぼ負けるだろうと判断した側のプレイヤーも無理に攻めに行くよりは次に向けてSPゲージやEXゲージを温存したくなるはずです。
なにせ必死にゲージを消費したりしながら攻撃を仕掛けに行こうと負ければ勝利者も同様、互いにHPが全回復するからです。
前ラウンドで押されていても諦めず頑張って堂々と攻めに行こうものなら、誠意ある行動をしたのにも関わらず勝利できなかった場合せっかく使ったゲージ分さえ返ってこないという、あんまりな結果が引き起こされます。

“勝利した側は次ラウンドHPが全回復する訳ではない”という認識があれば以下のような効果があります。

●HP量が多い方のプレイヤーはそのラウンドはほぼ勝てるだろうという判断をしようが、次のラウンドに向けてできるだけダメージを受けないようにしようと心がける事になります。
相手にトドメを刺さずゲージ稼ぎを行うという作戦もできなくはありませんが失敗して攻撃を受けた場合そのラウンドで勝つことができても次のラウンドでHP差が生じ不利になってしまうという事態を引き起こす為リターンだけでなくリスクが生じるのです。
リードしている側も常に油断ができないという緊張感が湧き格闘ゲームとして必要不可欠な”戦わなければ負ける”という気持ちが保たれます。
ゲージを消費しようが相手のトドメを刺せる時に刺しておけば確実に勝利側がそれ以上HPを失わずに済む為、ゲージ消費技も積極的に放ちたくなるはずです。
格闘ゲームにおいて色んな技を出せるという事は爽快感に直結しています。それを出し渋らなくて済むのです。

●ピンチになっているプレイヤーも相手に少しでもダメージ与える事ができれば結果敗北しようと、勝利側のHPをできるだけ次ラウンドに引き継がせないようにできる為、頑張りが無駄にはなりません。
むしろゲージ消費技などを積極的に使ってでも攻めにいかないと次のラウンドで勝てる可能性がより低くなるのはプレイヤー自身です。
負けかねないラウンドにおいてもゲージ消費技を渋る必要はあまり無くて済むはずです。

これらの事を踏まえた上で、勝利した側はHPの全回復とまではいきませんがボーナスとして”引き継ぐ量+少し回復”という褒美を受け取る事ができます。
勝利した側が次ラウンド不利を背負うだけというのは非常に厳しすぎると思い、私から皆様へ贈るほんの少しの優しさとして、この処理を加えました。